2007年10月17日
弱きを助け強きをくじく
人の弱みにつけたり社会的弱者を標的にするなど考えられません。
厳罰に処してほしいものです。
手話で勧誘し、聴覚障害者から多額の出資金を集めた疑いがあるとして、東京都港区の福祉関連会社が警視庁の家宅捜索を受けた。事実なら、許し難い事件だ。
容疑が持たれているのは、この会社の女性社長(55)。二〇〇四年から〇五年にかけて、都内などの聴覚障害者二人に手話で「銀行より高い金利を毎月支払う。元金が必要になればすぐに返す」と持ち掛け、三千八百万円を集めた出資法違反(預かり金の禁止)の疑いである。
「銀行に預けても意味がない」と勧誘しており、当時のゼロ金利につけ込んだ手口だ。利息の支払いは滞り、元金も返済していない。捜査の進展次第では、詐欺事件に発展する可能性もありそうだ。
既に対策弁護団が結成されており、被害者は関東や中部地方の十都県で約七十人、総額六億三千万円に達する、という。社長は行方が分からず、会社の実態もない。被害をこれ以上増やさないためにも、捜査を急いでもらいたい。
関係者によると、社長は〇三年に「聴覚障害者の福祉施設を造る」と神奈川県湯河原町の温泉ホテルを購入し、オープンさせた。ところが、資金繰りに困り、今春売却した。
障害者から集めた資金は、この施設の運営などへの投資名目だった、という。同じ境遇の人のための施設と聞き、「それなら」と大金を渡した人がいるかもしれない。年金や老後の蓄えを預けたケースも多い。
手話は聴覚障害者のコミュニケーション手段である。社長は親族に聴覚障害者がいたことから手話が堪能だった。ある被害者は「耳の聞こえない者の気持ちをつかむような、やさしい感じの手話だった」と証言している。手話がうまいことを悪用したのであれば、悪質この上ない。
それにしても、なぜ、被害がこれほど拡大したのか。相談を受けた弁護士は「聴覚障害者は日ごろから、健常者の話をよく聞くように言われている。特に手話が上手な人を信用しやすい。社長はこれをよく知っていたのではないか」とみている。
決して特異な事件ではない。今年一月には香川県で、手話で聴覚障害者を脅し、三百万円を奪ったとして、恐喝容疑で男女三人が逮捕された。未然に気軽に相談できるシステムづくりや、周りの人たちの目配りを強め、障害者を犯罪から守る世の中を築きたい。
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